怖い話に打ってつけの日 めざせ100user!

 最近、猛暑日が続いているので精神的に涼しくなるちょっと怖い話を書こうと思いました。
 そこでホッテントリメーカーを使いまして、多くの方を釣ってみようとしました。タイトル名は釣りです。用意した怪談話は五つ、いずれも二、三分読めるショートショートです。

やさしいカオをしたカノジョ

 おととい、オレがウェイターのアルバイトをしている喫茶店に友人とカノジョらしき女がやってきた。やさしいカオをしたカノジョを先頭に歩かせ、窓際のテーブルに座った。
 こんなかわいい子をエスコートしない友人に対して、ちょっと意地悪してやろうか、と思ったオレは水の入ったコップをカノジョのテーブルの上しか置かず、またメニューもカノジョが頼んだものしか持ってこなかった。
 オレは苦笑いしながら、早くつっこめよと思いつつ、ウェイターの仕事をしていた。それでも何も言ってこないから、と窓際のテーブルに行くと、二人はいなくなっていた。
 次の日、友人にメールを送ると、なぜかそのまま返信された。おいおい、着信拒否かよと思い、他の友人にそのことについてメールで送ると、こんなメールが返された。
「おい、知らないのか? 一週間前に、誰かに殺されたんだぞ」
 もし、あのときヤツに話しかけたら、カノジョはオレを殺したのかもしれないと思うと、ぞっとした。もしかするとカノジョは死神だったのかもしれない。

ググるな!!

 昨日、わたしがパソコンで、とあるポータルサイト検索エンジンを使おうとしたら、変な履歴を見つけた。たぶん、それはわたしの弟が勝手にいじって、残したものなんだろうね。幾ら親から買ってもらえないからと言って、わたしのパソコンを使うのはやめてほしかった。

 でも、弟がどんな言葉でググったのか興味あったから調べてみた。
 
『東京 住み込み バイト』
『殺し屋 値段 仕事』
『夢 世界制服』
『穴』
『ニワトリ』
絶望の世界
『将来の夢 現実』
『生まれ変わり』
『自立 幕張』
 
 ……今度、弟と話し合おうかなと思った。
 

消えないSOS

 
 24時になると、また0時から始まる。今日もまた同じ日が始まる。
 これを読んでいる方はわからないかもしれないが、私は一日がループしている。わかりやすくいえば、12月31日の23時59分の1分後は、1月1日の0時0分ではなく、12月31日の0時0分。私は時間の牢獄の中を生きているのだ。
 
 最初はこのループする時間が楽しかったが、だんだんと明日が来ないことに、腹が立ってきた。明日が来ないということは自分の存在が否定されたということだ。
 それからか、どんな手をつくしてもこの時間の牢獄の中から出て行こうと強く願った。しかし、どんな手をつくしてもムダであり、いつしか生きることがつらくなった。段々と現実感が麻痺し、生水みたいものが胸の中に垂れ流れてきた。
 
 私が私であるうちにこの手紙を書き残そうと思い、今こうして書き残している。おそらくこの手紙もループした毎日から逃げることはできないだろう。
 既に何枚かこの手紙は書いており、駅前や繁華街の見える場所に貼った。しかし、次の日になると、その手紙はなくなっていて、残されなかった。
 
 このループから抜け出すためにはどうすればいいのか? 奥の手はあるが、まだそれをやろうかどうか決めかねている。……誰も死にたくはない。だからこうやって誰かにsosを送っている。
 誰かが、そう誰かが助けてくれるまで、私はこの時間の牢獄の中、生き続けようと思う。ムダに書いたこの紙もループで消えることをわかっていながらも、誰かが助けてくれると信じている。
 

ランキングナンバー1

 
 ケータイ小説ってあるよね。ただで時間が潰せるからけっこう読んでるんだけど、もう読むのやめようかなと思っている。
 この前、あるケータイサイトのランキング一位のケータイ小説を読んだけど、かなり酷かった。それはね、ある女の子が好きだった男の子がデートDVされた上に浮気されたから殺すっていうものだったの。最終的には、誰にもばれずにその男の子が殺したことで、女の子は自分が悪いことをしたと懺悔したところで、終わった。はっきりいってありきたりでマンネリ、ホント、駄作だったわ。
 つまらないものを読んだと思って、レビューにこの小説面白くなかったと書き込みしようとした。でも、なんかできなかった。レビューには、面白かった! 最高! そんな男殺されて当たり前!! 絶対本になったら読むよ、っていう声ばかりで、わたしのような読み損なユーザーはいなかった。
 そこであることに気づいた。わたしが読んだのはランキング一位のケータイ小説、面白くもないものが一位になっていたその事実に戦慄を憶えたわ。なんでも一位だったら、それでいいのかしら。ノンフィクションなら。
 

偽装広告

 
 最近、食肉加工の工場で色んな偽装があるだろう? 俺もな、ある企業の食肉加工の工場で働いていた派遣の従業員だった。ラベルの張り替えはもちろん、海外産の肉を国内のブランド肉に見せかける産地偽装なんかもしていた。ホームページとかの会社説明とかは誠実を謳い文句にしていたけど、もうこの会社にはコンプライアンスのカケラの一つないと思ったわ。
 
 ある日、その偽装を告発するって社長に直談判した派遣社員がいたんだ。そいつは妙に正義心だけが強くてさ、自分はいつも正しいと思い込んでいた。
 でも、告白するって言った次の日、そいつはこの工場からいなくなった。そいつは住み込みで働いていたから、スーツとか残して他のところに行くなんて考えられなかった。
 
 それからだ、工場の景気がよくなったのは。今までそれなりにヒマだったのに、いきなり忙しくなった。なんでもこの工場で加工された商品が美味しいというクチコミが広がって、工場の生産ラインは軌道に乗り出したそうだ。
 
 食肉加工で儲かりだしてからはラベルの張り替えや海外産の安い肉を国内のブランド肉にする偽装をやめた。
 同時期、俺はその工場で働くことをやめた。この工場に嫌気を差していたわけではなく、もうここで働きたくないと思ったからだ。工場の従業員数が満杯だというのに、いつまでも派遣社員を募集していたからやめたんだ。
 高収入で初心者でも大丈夫と募集する偽装広告。いったいその派遣社員は何処で働かされるのか。オレはそんな偽装広告にだまされないように、仕事を選ぶ。でも、世の中、そんな広告しかないんだよね。
 

(おまけ) 怖い話に打ってつけの日

 
 百物語する日はいつの日がいいのか知っていますか? 新月の夜がいいとされています。この前、7月3日が新月だったので、8は1日と31日が新月の夜です。
 百物語をするときは怪談を話す部屋と、部屋とローソクをつなぐ部屋とローソクのある部屋(できれば奥の部屋)を用意してください。ローソクのある部屋には100本のローソクを用意し、テーブルの上に鏡を置いてください。
 百物語の怪談話は化け物が出てくる話以外にも、不思議な話や怖い話でもいいです。相手を怖がらすような話をしてください。
 怪談話を一つ語り終えたら、部屋とローソクをつなぐ部屋を通って、ローソクのある部屋へと行ってください。部屋へとたどり着いたらローソクを一本消してください。そのとき、自分のカオ、その鏡を見てから元の部屋へと戻ってください。話し手が別の部屋に行っている最中でも怪談話を続けてもいいです。
 これを100話まで続けると、真の闇が訪れて、ホンモノのもののけがやってきます。その場合、99話まで話して、朝を待ってください。朝が来たら、100話目の怪談話をしてください。朝ぼらけの空に、夜の帳が落ちれば、闇が訪れます。
 

百物語ブログ募集 !(あくまで)

 
 ここまで読んでくれたユーザーさんに一つ相談があります。8月1日か31日に、オリジナル怪談ブログ記事をエントリーしてほしいのです。
 一つ一つの怪談ブログを読んでいき、100のブログ記事を読んだ瞬間、真の闇が訪れ、もののけが現れる。もののけが現れるのは、はてなか? それとも、自分の部屋か? 確かめたくありませんか?
 あくまで提案なので強制ではありません。これもちょっとした一つのブログコミュニケーションの一環だと思います。(ただ私が百物語の怪談を思いつくのができないからなんですけどね)

 そういえば、7月3日の深夜、怖い話を作るために、色々と怪談話を集めていましたら、朝の午前六時になりました。でも外を見るとまだ夜でしたので、パソコンの内臓時計が壊れているのかなと思いました。それでテレビを見ると、6:04というテロップがどうどう写っていました。おかしいなと思いながら、少し仮眠することにしました
 その一、二時間後に起きると、青い空が広がる朝が来ていました。どうやら、私の思い違いでした。
 ホント、アレはなんだったのでしょうか? あの夜の色に似た朝は。